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遠山郷フィールドスタディーを終えて

投稿日:2024年10月5日 投稿者: カテゴリ:ワダパゴス運営日記 タグ:

2024年9月21日-23日で実施された遠山郷フィールドスタディに参加し、遠山をどりをお手伝いしてくれた大学生からレポートが届きました。とてもうれしい内容でしたので、許可を頂いて、こちらで紹介させていただくことにしました。


遠山郷フィールドスタディーを終えて

麻布大学一年 三武伊織

 

 今回の遠山郷フィールドスタディーを終えて、遠山郷の盆踊りのすばらしさや今後の課題を発見することができた。

 長野県の南端に位置している遠山郷は山々に囲まれた静かな土地で自然とともに生きながら古くから伝わる風習や文化が今も息づいている地域である。遠山郷の盆踊りはそのうちの伝統行事の一つである。今回私は和田地区で行われた盆踊りに参加できることができた。普段都会の喧騒の中を生きている私にとって遠山郷の豊かな自然の中で行われるこの盆踊りはまさに心を癒す素敵な体験となった。

 今年の盆踊りはもともと「ゆたかや」というカフェだった空き家を解体・再利用し、新たに「ゆたかやBASE」という会場を設置して行われ、以前の開催時期とは異なりお彼岸の時期に合わせて行われた。通常、盆踊りはお盆の時期に先祖の霊を迎え、供養するためのものである。今回はお彼岸での開催であったが、ご先祖の方々への思いや供養の心を大切にするという点においてはあまり大きな違いは感じられなかった。地元の方々にとってこの盆踊りは特別な存在であり、集まった方々の熱気と喜びが会場全体にあふれていたように感じられた。

 会場について準備を進めている中でまだ準備時間であるにも関わらず、地元の方々がこんなに楽しそうに準備を行っている姿を見てこれほどまでに笑顔があふれるお祭りの準備は珍しいと感じることができた。また、準備から本番まで地域全体が一体となってこの盆踊りに取り組んでいる様子が伺うことができた。お年寄りから子どもまで世代を超えて一つの輪になり盆踊りを作り上げていく姿は、現代社会ではあまり見かけなくなった貴重な光景であった。盆踊りが始まると師匠の針間さんを筆頭に観光客の方も地元の方々に混じり、踊りの輪が広がっていた。皆が笑顔を浮かべ、時には声をかけながら踊り続ける姿は、見ているだけでも心が温まった。盆踊りの振りは比較的シンプルで誰でもすぐに参加できるものであった。踊りの輪の中心には太鼓が据えられ、これが踊りのリズムを作り出していた。私が実際にたたかせていただいた際には地域の方々の暖かさが私自身もここ遠山郷の出身なのではないかと勘違いしてしまうほどだった。この太鼓の音に合わせて足を動かし、手を振るい踊るたびにまるで時代をさかのぼったような不思議な感覚が広がっていった。そして、遠山郷の盆踊りは、ただの盆踊りのイベントではなく、地域の絆を深める重要な機会であることが強く伝わった。

 しかし、遠山郷の盆踊りも現代の課題に直面している。昔はもっと多くの人が集まり踊りの輪が二重になっていたという。以前のように二重の輪ができなくなってしまった理由の一つに空き家問題が挙げられる。遠山郷では過疎化や少子高齢化に伴い空き家が増えているという現実がある。実際、和田宿の町を歩いている際にも何件か空き家が目立っていた。今後、空き家の所有者問題に取り組み、空き家を改修して観光客や新しい住民を受け入れる施設や、文化体験ができる場などに活用することができれば、遠山郷に訪れる人々にもっと深い魅力を伝えることができ、地域の活性化により繋がると感じた。特にこの盆踊りのような伝統行事を通じて人々が地域の歴史や文化に触れることができる場を提供することは地域の存続において重要な意味を持つはずだと感じる。

 遠山郷の盆踊りは地域の歴史と文化を伝える重要な行事である。しかし、過疎化や空き家問題といった現代的な課題にも直面しており、地域全体でそれらを解決していくための取り組みが今よりさらに求められている。

 今回の遠山郷フィールドスタディーの参加を通じて、遠山郷の人々が持つ強い絆とその土地に対する愛情を強く感じた。そしていつの日か再び二重の輪ができるほど多くの人々が集まり、この遠山郷の土地に笑顔と踊りがあふれる光景を目にしたいと願っている。

 

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