手芸を通じて、笑顔の輪が広がる 小澤富子さん
投稿日:2019年3月18日 投稿者:
「何も特別なことをしているわけじゃない、同年代の気の合う仲間が集まって、好きなことをしているだけ」と語るのは大島在住小澤富子さん。
小澤さんは、若いころから手先が器用で、古い着物や古布をリメイクして半纏や小物を作ることが好きでした。
手先の器用さは母親ゆずり。
おしゃれなものなど無い時代、母親特製のお花の刺繍入りのかばんを持ち、赤いリボンをつけた大人用の麦わら帽子をかぶって学校へ通っていたとのこと。
和裁の勉強はしたことがあったそうですが、それ以外は全て独学。
つるし雛、俵にのったねずみ、ウサギの人形等、出かけた先のお店でみかけた「いいな!」と思ったものは見て覚えて帰ってきて再現して作ることができる特別な能力を持っています。
南信濃に嫁いでからは農作業に明け暮れ、自分の好きなことに時間が割けない状態でした。
ところがある時、短大から先生を招いて「着ない着物をリメイクして二部式に」という講座が開催され、地区の人が着物を持ち寄りこぞって参加をしましたが、時間の都合でとうとう二部式の着物が出来上がることなく講座が終了してしまいました。
皆の手元に残ったのは、無残にも半分になった高級な着物たちでした。
そこで昔取った杵柄、和裁の勉強もしていた小澤さんが声をかけ、二部式の着物を完成へと導きました。
このことがきっかけとなり手芸を中心とした「むつみ会」を主宰し一か月に二回、お弁当を持ち寄り、和裁、編み物、小物等々思い思いの作品を作る趣味の会へと発展しました。
気が付けば早二十年。あっという間でした。
実際、会に参加してみると笑い声が絶えず、和気藹々の雰囲気の中での会は微笑ましいものがあります。
小澤さんは現在八十二歳ですが、農業の傍ら、このむつみ会を始め三つのサークルの講師として活躍しておられ、その周りには必ず笑顔がありました。会に参加するには約束ごとは二つ。
一、人の悪口は言わない
一、おにぎり一個だけでOK、
買ったものは持ち寄らない以上を参加者が守り、ここまで継続してきているとのことでした。
タンスに眠っている着物や古布を無駄にしない、戦後を生き抜いた方々の身についた術であると思います。
手芸を通じて、そこに笑顔を咲かせ、人と人とを結びつける大切な集まりがあることを知り、手芸を通じて、そこに笑顔を咲かせ、人と人を結びつける集まりがこの遠山郷で地域から生まれています。
その事が地域を元気にする大切な宝物ではないでしょうか?
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